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鳶色の町
もうすでにいってしまったのか
この町には誰一人いない
他の人と思って目をやれば
人の形の何かと目が合う
音もなく飛んでいく飛行機
雨の中沈んでく街並み
いつの間に消えてしまったのか
この町には誰一人いない
汚れのついたズボンの裾も
誰もいなければ恥ずかしくもない
独り言を言えば反響して
ビルの隙間をすり抜けてく
代わり映えのない日の戯れに
ゆらめいて見てた鏡の中
何のために歩いているのだろう
何のために眠ってるのだろう
風のない風景をさまよい
音のない音色を口ずさみ
いつの日か忘れてしまうだろう
この町には自分さえいない
砂にまみれたブーツの紐も
雨に流れたらそれでおしまい
独り言を言えば反響して
ビルの隙間をすり抜けてく
袖にこぼれたジュースの染みも
誰もいなければ恥ずかしくもない
流れ星を見てたプールサイド
雲の切れ間をすり抜けてく
頭上から鳴り響く音楽
鳶色の夢は溶けて消えた
いつの日も同じ夢を見た
その町では自分さえいない
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